「夏の旅…」(2015年1月展示作品) [2015年1月「人の生活がある風景vol.2」]

絵はがきがやっと終わりましたので、展示作品を順番に紹介します。
「サイズが大きい順」です。

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夏の旅小説『津軽』と逆まわり
F10
青森県蟹田町 観潤山公園 2014年8月

この俳句風タイトルの意味は、、、
夏に1週間津軽に行き、五所川原→小泊→五所川原→青森→竜飛→蟹田と訪れた行程、
それが、太宰治の小説『津軽』の行程のほぼ逆だったということです。

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最近は、アニメなどの舞台になった実在の場所に行くことを「聖地巡礼」と言うそうです。
なので、小説『津軽』の現場に行ったということもある意味「聖地巡礼」なのかもしれません。
ただ、最近の「聖地巡礼」は観光的に仕掛けている部分が多く、
そういう作品では写真トレス(またはそれに近い方法)で絵を作っています。
なので、実景と絵がとてもそっくりです。

この絵はそういう技法ではないので、ここに行ってもイマドキのそっくり感は期待できないと思います。


でも、太宰治の描写って、もっとホンモノを反映していないのです。

このときの津軽1週間大遠征を振り返って、『津軽』を読み返しました。
やっぱり、情景描写は少なく、あってもかなり主観的なものでした。
その代わりに語られているのは仲間との珍道中、そして自分の気持ち、そしてかなり思い切った行程の省略。

だからなのか、何だか不思議なくらい「蟹田」という印象的な地名に降り立った地点で、もうそれだけで満足。
頭の中に『津軽』があったおかげで、誰かと一緒に歩く楽しさや不満を、なぜかひとり旅で味わったのでした。小説の内容はロクに覚えていなかったけど(^^;)

写真トレス的でない絵って、何かと不便な技法ですけど、
「何かを共有する」ということに、まだまだいろいろなアプローチができるんだな、と、思ってます。


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